塩基配列からアミノ酸配列への翻訳
塩基配列をアミノ酸に翻訳するには、その塩基配列が何の配列で、どのような遺伝暗号によってアミノ酸をコードしているのかが分かっている必要があります。ここではすでにそれは分かっているものとして、塩基配列をアミノ酸配列に変換する方法を説明します。
MEGAを使う場合
Windows環境ならMEGAのAlnExplorerを使うのが簡単です。FASTA形式でデータを用意してMEGAで開くと、AlnExplorerが起動するので「Data」メニューの「Select Genetic Code Table」から遺伝暗号表を指定します。その上で、「Data」メニューの「Translate/Untranslate」を使えば翻訳は終わりです。ただし、MEGAの場合、塩基配列に縮重コード(「A or C」を「M」と表記するもの)があると、本来は何らかのアミノ酸「X」に翻訳すべきなのにギャップ「-」としてしまいます。アミノ酸配列の用途によっては問題が起きる可能性があります。翻訳後の配列は「Data」メニューの「Export」からファイルに書き出すことができます。
EMBOSSを使う場合
EMBOSSのtranseqコマンドによりFASTA形式の塩基配列をアミノ酸配列に翻訳することができます。MEGAのような問題はありませんが、コマンドラインから操作する必要があります。JembossなどのGUIを介した操作もできますが私は利用していません。他にもEBIがWebインターフェイスを用意していますのでこちらのWebフォームから翻訳結果を受け取ることもできます。
transeqでの翻訳には、まず遺伝暗号表の番号を知る必要があります。マニュアルのページが参考になります。Command line argumentsの-tableの項を参照して下さい。これだけで分からないならNCBIのページも見ましょう。
番号が分かったら、以下のようにコマンドを実行します。
transeq -table x -frame x input-file-name output-file-name
入力配列が第1コドン位置から始まっていない場合、-frameオプションに1〜3を指定することでずらすことができます。Fを指定すると1〜3の全パターンでの翻訳を行います。-1〜-3を指定すると逆方向に翻訳します。Rを指定すると-1〜-3の全パターンでの翻訳です。6なら1〜3と-1〜-3の全パターンでの翻訳になります。これを利用して最も終止コドンの出現が少ない翻訳パターンを探すことで正しいアミノ酸配列と塩基配列のコドン位置を推測できます。ただ、そういう目的の場合はtranseqを使うよりもshowseqコマンドを使う方が良いでしょう。以下のようにコマンドを実行すると、見やすいテキストファイルが作成されます。ただのプレーンテキストなので適当なエディタやページャで中を見て下さい。
showseq -table x -format 6 input-file-name output-file-name
ファイルに書き出さずにページャ(less)で表示するだけなら以下のようにします。
showseq -table x -format 6 input-file-name stdout | less
transeq -frame 6とshowseq -format 6をいっぺんにやってしまうsixpackというコマンドもあります。以下のように使います。
sixpack -table x input-file-name
最終更新時間:2007年05月17日 12時18分06秒